災害対策本部の緊急トイレ対応
- 2017年01月01日
- 関東大震災, 阪神淡路大震災, 新潟県中越大震災, 大震災時におけるトイレ
阪神・淡路大震災は、都市直撃型の大震災でした。ライフラインの潰滅という都市型大災害とその特色であるトイレ大混乱を体験したことから多くのことを学びました。
すなわち、緊急トイレ支援の現場の大混乱は、仮設トイレの設置場所の指定-指示系統の大混乱でした。指示がマチマチでトイレ必要数が分からない状態に陥ったのです。
被災現場では、仮設トイレの搬送・設置の場所の指定が明確でなく、どこに設置するのかも全く不明となると、ひとまず役所の前に搬送して災害対策本部(司令塔)の指示を待つことになります。が、ここで指示系統がマチマチになると、せっかく仮設トイレ等を搬入しても被災者の待つ場所に設置するのが遅れてしまう。被災者がどこに何人いるのかが掴めないと、仮設トイレの必要数も決まらないことになります。これが、災害現場でのトイレ混乱の実情です。そのときの被災者(避難者)の把握と指示系統の明確化が喫急の課題です。
道路の破壊など複合災害の下では、情報収集や運搬体制などの災害トイレの緊急提供システムを作っておく必要があります。その際、「帰宅困難者」の集結地点でのトイレ対応も視野に入れておくべきです。
なお、災害対策本部が必ず心得ておくべき災害トイレ対応のコアとなる点は、次の4点です。
①災害用トイレ製品には一長一短あること
②災害用トイレ対応は「適時適材適所の原則」で行うこと
③災害用トイレ製品はの設営は「分散近接配置の原則」で行うこと
④災害トイレ対応は避難生活(避難者の集中と分散)と災害復旧の時系列で変えていくこと
これらの点は、本書の説明の中でも述べていますし、難しいことではありません。が、一人ひとりの被災者のトイレ利用上、いずれも被災現場や避難所で対応する上で欠かせない原則とお考えください。
山下亨著 近代消防新書 災害救援ガイドブック 「トイレって大事!」より引用
写真は、旭ハウス工業製 洋式水洗架台付(壁排水) [AUG-FWR+15WS]
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