神戸市環境局の緊急トイレ対応③
- 2017年01月01日
- 阪神淡路震災でのトイレ大混乱
仮設トイレの設営
第二段階 苦情と要請の質的変化
仮設トイレがある程度行きわたるまでは、「トイレを何とかしろ!」「仮設のトイレを設置してくれ!」という要望が殺到した。担当者はこの苦情処理に労力を費やした。
しかし、「百人に1基」程度行きわたった段階で設置の苦情は減少した。さらに、「75人に1基」となった段階では苦情がなくなった。この経験がのちに、「仮設トイレは利用者100人に1基を目標とすべきだ」(神戸市環境局)という提言となった。
一方、時間の経過とともにトイレに関する要請や苦情が質的に変化してきた。その苦情たるや恐怖でもあった。
「仮設トイレ内で懐中電灯を付けると使用中の人影(シルエット)が映る。」
「トイレ内を覗かれそうで不安だ。」
「仮設トイレ本体が風で揺れる。安定性が悪い。」
「仕切りのカーテンが風でバタバタと揺れる。手で押さえるわけにもいかず落ち着かない。」
「ステップが高いから老人には使いづらい。」
これらは、トイレ・プライバシーの問題や排泄行為の安全・安心にかかわる問題だ。
「組立方が素人には難しい。」
「便槽がビニール製なので、バキューム車のホースの先がくっついてきれいに汲取れない。」
仮設トイレ設計上のハード的な問題も数多く指摘されていた。
ちなみに、組立式仮設トイレのハード的改善面では関係メーカーが改善を行ったから、9年後の新潟県中越大震災の被災地には改良された組立型仮設トイレが数多く見かけられた。
山下亨著 阪神・淡路大震災と新潟県中越大震災の教訓 「トイレが大変!」災害時にトイレ権をどう保障するかより引用
写真は、日野興業 製 仮設トイレ 水洗タイプ 洗面所 [GX-LS]
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